海峡を渡るヴァイオリン(陳 昌鉉)=自分の成長と母の物語
2010(平成22)年5年19日(水)
世界屈指のヴァイオリン製作者である陳昌鉉(チン・チャンヒョン/ちん・しょうげん)の人生と、妹とともに韓国に残った母(千大善)の物語。
仕事へ向かう通勤時間を利用して読んだ。小さいころのヴァイオリンとの出会いが、苦労を経て自らの一生涯の仕事なるまでの、驚くほどの一途な人生がそこにはあります。
在日韓国人として、幾多の差別を受けながらも、人の縁に恵まれながら、とうとうヴァイオリン製作者としての名声を獲得します。その間、戦後の朝鮮における戦争、分断、内政など政治的な状況の中で、古いタイプの母は、一途に子どものために、時には乳をもらいに走り、時には仕事をしながら家族を支えていく。
朝の通勤時間帯で読み終えましたが、ラスト数ページ部分は、特にこみ上げてくるものがあります。
読み終えたときに、リリー・フランクの「東京タワー」を思い出してしまった。
その違いは、日本人と韓国人、成人となってから一緒に生活したかしないか、結婚まで至らなかったか妻子がいたか、などです。
親不孝な私ですが、近いうちに母の姿を見に、実家に行くと思いました。
◎東洋のストラディバリ 陳昌鉉(長野県の木曽町公式サイトより)
木曽町との関わりや陳氏のエッセイが掲載されています。